静寂に金属がぶつかる高い音が響き、こだまする。悪魔は翼を羽ばたかせ、ダンテは足元に魔法陣を展開し、空中で二人は競り合う。悪魔の爪とダンテのリベリオンがぶつかり、火花が散る。


「なかなかやるな…!」

『くっ、こざかしい…!』


かたや楽しそうに笑みを浮かべ、かたや憎々しげに歯ぎしりし、二人は距離を取る。


『今度こそとどめをさしてやる…!』


空中で一旦体勢を整えると、一瞬の内に悪魔は姿を消す。目に見えない速度で移動しているらしく、ヒュン、ヒュンと風を切る音だけが辺りに響く。


「目で捉えるのは難しそうだな…」


そう呟き、どうするか考えるダンテの傍で、リアラも思案する。


(ダンテさんのおかげで、少し身体が楽になってきた…まだ痺れは少し残るけど、集中できそう)


手を動かし、感覚を確かめると、リアラは前を見据える。


(目で捉えられなくても、気配は捉えられる…今は私達の周りを飛んでるわね)


元の姿に戻ったせいで気配は先程よりわかりやすくなっている。一瞬の隙さえ突ければ…。
集中するために、リアラは目を閉じる。それに気づいたダンテは、判断を彼女に任せることにした。
しばらくの間、二人の周りを旋回していた音が一瞬止まる。次の瞬間には一際鋭い音が響いたと同時に、悪魔が二人に向かって突進した。


『これで終わりだ!』


目に見えない速さで距離を詰め、笑みを浮かべて爪を振り上げたその時、リアラの目が静かに開いた。


「…終わりなのは、あんたの方よ」

『!?』


静かに言い放たれた言葉とともに悪魔の足元に氷の粒子が煌き、瞬く間に悪魔の足を飲み込んで二つの氷柱となった。
予想もしなかった展開に悪魔は目を見開く。


『なっ…!?』

「うちのお姫様は気配に鋭いんでね、姿が見えなくても問題ないのさ。残念だったな」


冗談めかして言うと、ダンテは悪魔の額にリベリオンを突きつける。リアラも凍てつくような視線を悪魔に向けると、口を開く。


「私の血は、そう何度も飲ませる程安いものじゃないわ。興味本意で手を出したことを後悔しなさい」

「だそうだ。俺もパートナーを傷つけられていい気分ではないんでね…これでサヨナラだ」

『ま、待っ…!』


懇願も虚しく、悪魔はダンテの持つリベリオンによって真っ二つに切り裂かれる。甲高い悲鳴を上げながら、悪魔は灰になって消えていった。




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -