「こいつを使えば、いくらでも悪魔を生み出せるからね。アグナス様が造り出した悪魔を私が再び造り出し、悪魔の軍団を作る。それを操り、人々を襲わせ、私がその悪魔を制する。そうして人々の信頼を集め、いつか私が指導者として人々の上に立つ。すばらしい計画だろう?」
「また神の計画とやらを考えてるのか?全く、懲りねえ奴もいたもんだな」
まるで歌うように自分の計画を語るシスにダンテは呆れた顔をする。
すると、突然シスはきっ、とダンテを睨みつけ、声を荒げて言った。
「黙れ!教皇様の神の計画を邪魔したのは貴様とあの生意気な小僧だろう!?」
あと少しだったというのに…!と拳を握り締めるシス。どうやら、教皇とアグナスにかなり心酔しているらしい。
「あんな悪趣味な計画、誰だって邪魔したくなるだろ」
「悪趣味だと!?あれは聖なる計画だ!貴様に悪趣味などと言われる筋合いはない!」
本当に姿や口調まであの男にそっくりで、あの男が目の前にいるようだ。ダンテは深いため息をつく。
「…で?あんたのその計画のために、そいつを使うってのか?」
ダンテが問うと、先程まで怒りをあらわにしていたシスは一転し、歪んだ笑みを浮かべる。
「そうさ。こいつは悪魔を造り出すのにいい材料になる。父親が高位の悪魔のためか魔力が強いし、何よりすぐにくたばらない。魔力が少ない時は放っておけばある程度回復するしな」
まさにうってつけの材料だ、と言うシス。
そのあまりの物言いに、ダンテの声が低くなる。
「…ふざけるな。いくら半魔とはいえ、魔力を取られ続ければ死に至る。そいつを殺す気か?」
「死んだら死んだで、こいつの父親を使えばいいだけの話だ。それに…」
ふと言葉を切り、シスは再びリアラの入っている試験管に触れる。ダンテはその時初めて、リアラを覆っているものが試験管のガラスではなく、魔力を纏った氷であることに気づく。
「ここから出るために暴れて、試験管を壊すほどの氷を生み出し、その中ですら生き続ける…。こんな化け物、人扱いする必要もないだろう?」