「…そりゃあ困るな。そいつは俺の大事なパートナーなんだ、食わせるわけにはいかねえな」
『!?』
自分達以外の声に驚き、悪魔が身を引くと、目の前を大剣が通過する。地面に突き刺さった見慣れたそれをリアラが見つめていると、ふいに肩を抱き寄せられた。
「大丈夫か、リアラ?」
「ダンテ、さん…」
リアラが顔を上げると、そこにはダンテの姿があった。いつもと様子の違うリアラと彼女の首筋に残る傷に、ダンテは何があったか察する。
「噛まれたのか」
「すみません、私が油断してて…身体が上手く、動かせなくて…」
そう言う彼女の身体は細かく震え、指先は時折痙攣したように動く。話すことに支障はなさそうだが、これでは戦うのは難しいだろう。そう考えると、ダンテは片手でリアラを抱え上げる。
「ひゃっ!ダ、ダンテさん!?」
「その状態じゃ、戦うのは難しいだろ。お前が狙われてるみたいだし、こっちの方が守りやすいしな」
ちゃんと掴まってろよ、そう言うと、ダンテはもう片方の手で地面に刺さったリベリオンを引き抜く。
『舐められたものだな…片手で私を倒せるとでも?』
「お前なんかにゃ、片手で充分だ。さっさと来いよ、遊んでやる」
『馬鹿にしおって…!』
怒りを覚えた悪魔がダンテに向かって突進する。それに向かい、ダンテも地を蹴って大きく跳躍した。