「お嬢さん、こんなところでどうしたんですか?」
その声にリアラが目を開けると、少し離れたところに金髪の男性が立っていた。いつの間に立っていたのだろう、そう思ったリアラは僅かに眉間に皺を寄せる。
(この気配…悪魔か)
隠してはいるようだが、僅かに悪魔の気配がする。件の悪魔か、そう考えたリアラに男性が話しかけてくる。
「貴女もパーティーに参加されているんですね。お一人ですか?」
「ええ、パートナーと来る予定だったんですが、パートナーが風邪をひいてしまって…さっきまで会場にいたんですが、今は息抜きをしているんです」
「そうなんですか、実は私もパートナーと来る予定だったんですが、都合が合わなくなってしまって…今日は一人なんです」
言いながら、男性はリアラに近寄る。
「まだ次のダンスまでには時間がありますし、よろしければ僕の話相手になって頂けませんか?」
「構いませんよ」
「よかった、じゃあ、ここから移動しましょう。少し行ったところに、庭がよく見えるところを見つけたんです」
「それはすてきですね、行きましょう」
そう言い、リアラは寄りかかっていた柱から身を起こした。