「どう思う?リアラ」
執事に連れられ控え室へ向かう中、隣を歩くダンテが尋ねてくる。前を歩く執事に聞こえないように、なるべく小さな声でリアラは返す。
「おそらく悪魔、でしょうね。知らないうちに人が消えている、夜にしか出てこないことを考えれば」
「だな。ちらっと見ただけだが、警備は厳重そうだし…あの主人の言う通り、普通の奴じゃ入ってこれなさそうだ」
「気づかれないうちに、ってことはそうとう知能がありますね…。下位の悪魔なら、その場で襲うでしょうし。人の姿に化けれるのかもしれません」
「可能性はあるな」
「お二方、着きました」
足を止め、執事がこっちに向かって振り返る。両側に扉があり、どうやらそこが控え室らしい。
「右側の部屋がダンテ様、左側の部屋がリアラ様の控え室になります。何かあったらお呼びください。リアラ様の部屋には後ほどメイドが支度の手伝いに参ります」
「そうですか、ありがとうございます」
自分達への待遇に少し驚きつつもリアラが礼を述べると、では、と深々とお辞儀をし、執事はその場を後にする。
右側の扉に手をかけると、ダンテがこちらを振り向く。
「じゃあ、会場でおちあうか。ドレス姿、楽しみにしてるぜ」
「もう、からかわないでください。これは仕事ですよ」
「はは、じゃあまた後でな」
楽しそうに笑うと、ダンテは部屋に入っていく。小さくため息をつき、リアラも部屋の中に入った。