「!」


突然足元の床が揺らめき、ダンテは後ろへ飛び退く。
その一瞬後に刃のひれを持つ悪魔―カットラスが飛び出し、一回転すると床へと消えた。
試験管から少し離れたところに着地し、つい先程まで自分が立っていた場所を見やっていると、誰もいないはずの空間にパチパチと拍手の音が響いた。


「お見事…。やはり神の御子息なだけある」


声がしたかと思うと、ダンテが入って来た入口とは反対側の入口の方から一人の男が姿を現した。教団特有の白い服を着た、短い黒髪の男。左目にはモノクルをかけている。まるで、あの男のまねをしているようだ。
ダンテはゆっくりと立ち上がる。


「なるほど…あんたがゼクスの言ってた奴か」

「ゼクス…ああ、この半魔の父親か」


ダンテの呟きに男はにやりと笑うと、こちらへ向かって歩き出した。


「初めまして、神の御子息。私はシス。元魔剣教団の技術局の研究者だ」

「その元魔剣教団の研究者さんが今更ここで何をしてるんだ?」


ダンテが皮肉を込めて返すと、男―シスはさも当たり前のように答えた。


「何を?もちろん研究だよ」


悪魔を造る、ねとシスは続ける。


「もう教団はなくなったんだ、研究を続ける意味はないだろ」

「そんなことはないよ。それに、教団は復活させる。この私がね」


あまりに唐突な発言にダンテは目を見開く。


「教団を復活させる?あんたがか?」

「そうだよ」


笑みを浮かべたまま、シスはリアラの入った試験管に触れる。




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