「…さっきも言ったけど、ダンテさんは家族でお兄ちゃんみたいな存在で、それ以上のことなんてないんだよ。それに…」
一旦言葉を切り、伏し目がちにリアラは続ける。
「親愛と恋愛の違いが、私にはわからないよ。どこに違いがあるの?」
今まで仕事以外で人間(ひと)に関わろうとしてこなかった自分。その分、感情が乏しいと思うし、どこか欠けているようにすら感じるのだ。そんな自分に、親愛と恋愛の違いなどわかるわけがない。
リアラの様子が変わったことに気づき、レディが声をかける。
「…リアラ?」
「え…?あ、ごめん!何でもない!」
心配そうなレディにはっと我に返ったリアラは慌てて手を振る。
「そろそろ行こ、せっかく三人で出かけてるんだから、他にもいろいろと回りたいな」
「そうね、そろそろ行きましょうか」
「なら、リアラの言ってた紅茶の店に行きたいわ。案内してくれる?」
「うん、わかった」
頷いて出口に向かうリアラに見えないように、レディとトリッシュは顔を見合わせた。