「ここに入るのは久しぶりだな…」


地下実験棟の魔剣の間に足を踏み入れたダンテは呟く。
事件の時にここを訪れた時はすでに閻魔刀はネロが手にしていたので、すぐに通り過ぎてしまったが。


「さて…と」


ひらりと跳躍し、かつて閻魔刀が収められていた試験管の前に立つと、ダンテは目を閉じ、気配を探る。
気配を探り始めてそれほど経たない内に、ダンテは探していた気配を見つけた。意識を集中しないと見つけられないほど、微かで弱々しい気配。
ダンテは目を開け、閻魔刀の収められていた試験管の残骸―その真下を見やる。


(これだけ近くにいないとわからねぇとは…。かなり弱ってるな)


これはさっさと助けてここから出た方がいいだろう、そう考えて、ダンテはその場に膝をつき、試験管の残骸の上に手を置く。


「まずは、結界を解除するか」


手に魔力を集中させ、そこへ流し込むと、やがて青い魔方陣が浮かび上がり、パン、と音を立てて消えた。
立ち上がると、ダンテは辺りを見回す。


(あいつは試験管を出すスイッチがどこかにあるんだろうとは言っていたが…)


歩きながらくまなく辺りを見回していたダンテは、ある壁の前で足を止めた。
他の壁とは違う感じがして、ダンテはその壁に近寄り、触れてみる。しばらくいろいろと触れていると、壁の一部分がカコン、と音を立てて外れ、中から白いスイッチが現れた。


「これか?」


首を傾げながらダンテがそのスイッチを押すと、後ろから何かが上がってくるような音がし、ダンテが後ろを見やると、試験管の残骸の真下にあった試験管がせり上がってくるところだった。


「…Bingo」


にやりと笑って、ダンテはその試験管に近寄った。
ダンテが試験管の前に来ると同時に、試験管は姿を現しきっていた。


「ん?」


試験管の中に入っているものを見て、ダンテは首を傾げる。
ダンテの目の前にある試験管の中には、ゼクスが言った通り、彼の娘であるリアラが入っている。
入っている、のだが。


(こんなに小さかったか…?)


ダンテは昔の記憶を探る。九年前に会った時、リアラは10代だったはずだから、今はもう20歳を過ぎていてもおかしくないはずだ。
だが、今ダンテの目の前にいる彼女は5、6歳ほどの幼い少女の姿だ。まるで、過去に遡ってしまったかのような姿。


(魔力がなくなっていることと何か関係があるのか…?)


ダンテは思案する。
原因があるとするならば、それしか考えられない。だが、こんな状態は見たことがないからそうだとは言い切れない。


(…まあ、考えるのは後でいくらでもできる。とりあえずこいつをここから出すか)


そう考え、ダンテが試験管に手を伸ばした、その時。




「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -