「あ、ダンテさん。まだ起きてたんですね」

「ああ」


ダンテの座るソファに近寄ったリアラは窓辺に佇むレイザードに気づく。


「あ、レイもいたのね。ダンテさんと二人で話ししてたの?」

「ええ、今ちょうど終わったところよ」


壁から背を離すと、レイザードはリアラに歩み寄る。


「私は上に行ってケルベロスと話してるわ。後は二人でゆっくり話して」


そう言うと、レイザードはリアラの頭を撫でて微笑む。


「…こんなに大切にしてもらえてよかったわね、リアラ」

「?」


首を傾げるリアラに笑みを深めると、レイザードは二階へと上がっていく。その後ろ姿を見つめるリアラに、ダンテは声をかける。


「リアラ、とりあえず座ったらどうだ」

「あ、はい」


自分の隣りをポンポンと叩いて促すダンテに頷き、リアラはダンテの隣りに座る。


「身体は何ともないか?」

「ええ、お陰様で。今夜は落ち着いて過ごせそうです」


そう言って笑う彼女は穏やかな顔をしていて、以前、魔力が暴走して暴れた姿など微塵も感じさせない。
ダンテはリアラの肩を抱き寄せる。


「ダンテさん?」


抱き寄せられたことに驚き、リアラはダンテを見上げる。
ポツリと、ダンテが呟く。


「…少しでも苦しくなったら、すぐに言えよ。…俺にも、魔力を受け取ることはできるみたいだしな」

「ダンテさん、もしかして、さっきレイと話してたのって…」

「…ああ」


頷くダンテに、リアラの胸がきゅう、と苦しくなる。
どうして、そこまでしてくれるんですか。今でもたくさん助けてもらってるのに。
一度思案するように目を伏せ、リアラはダンテに向かって微笑みかける。




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