「ええ、ええ…後日また伺いますので、お支払いはその時に。はい、お願いします。ご迷惑をおかけして、本当に申し訳ありません」


電話口で申し訳なさそうに頭を下げると、リアラは受話器を置いた。ちょうど二階から下りてきたケルベロスがリアラに近づく。


『昨日の仕事の依頼主か?』

「うん、報告がなかったから心配になって連絡したみたい。怪我をして報告できる状態じゃなかったって説明したら理解してくれたよ」

『そうか』


頷くケルベロスにリアラは尋ねる。


「…ダンテさんの様子は?」

『相変わらずだ。昨日よりはましになったが…まだ、時折苦しそうに呻いている』

「そっか…」


リアラは心配そうに二階を見上げる。
あの後、どうしてもダンテが気になって、結局、彼の部屋で椅子に座って様子を見ながら寝てしまった。とはいえ心配であまり眠れず、若干寝不足だ。
ケルベロスが続ける。


『悪魔の気配も残ったままだ。 …主の言う通り、時間がかかりそうだな』

「でも、苦しんでるってことは、ダンテさんの中にある魔力が呪いと戦ってるんじゃないかな。悪魔の魔力だってずっと残るわけじゃないわ、絶対治るよ」


大切な人が苦しむ姿は見たくないけれど、それが呪いを打ち破るために戦っている証なら。辛いけれど、見守るべきなのだろう。


「今、水とタオルを持っていくね。ケルはダンテさんを観ててくれないかな?」

『承知した』


頷き、ケルベロスは二階へと戻っていく。その後ろ姿を見送り、リアラは水とタオルを用意するために洗面所へと向かった。




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