「ああ。…だから、急がなければいけない」
あいつに見つからないように、とゼクスは続ける。
「あいつって…教団の生き残りの奴のことか?」
「ああ」
ゼクスが頷くのを見てから、ダンテは再び城を見上げた。
「…なら、急いだ方がよさそうだな」
そう言うと、ダンテはゼクスに問いかける。
「リアラが地下施設のどこにいるかわかるか?」
「閻魔刀が収められていた試験管の真下だ。リアラ自身も試験管に入れられている。どこかにその試験管を出すスイッチがあるんだろうが、私にはわからなかった」
「それだけわかれば十分だ。あんたが張ったっていう結界はどうすればいい?」
「あれは私が信用しているものなら、魔力を流し込めば解除できる」
「わかった」
頷き、ダンテが入り口へ向かって歩き出すと、後ろでゼクスが苦しげに呟いた。
「…娘を、頼む」
その呟きを聞き取って、一度歩みを止めたダンテは後ろを振り向く。
「…わかってる。すぐに会わせてやるさ」
そう返すと、ダンテは再び歩き始め、城の中へと姿を消した。