『話は聞かせてもらったぞ。今度はお主が主になるのか』
「そう、なるかな」
リアラが頷くと、ケルベロスはふむ、と頷く。
『いいだろう、そこの男はもう我を使う気はないようだからな。これからよろしく頼むぞ、主』
「ええ、よろしくね、ケルベロス」
リアラが手を伸ばして頭を撫でてやると、ケルベロスは気持ちよさそうに目を細め、キューンと鳴く。
ひとしきりケルベロスの頭を撫でてやると、リアラは立ち上がる。
「もうこんな時間ですね、お昼ご飯作りますね。ケルベロスも食べる?」
『人間の食べ物か、興味があるな。頂こう』
「わかった。ダンテさん、何か食べたい物はありますか?」
「いや、特にないな。リアラに任せるよ」
「わかりました。じゃあ、ちょっと待っててくださいね」
そう告げると、リアラはキッチンへと向かう。
この日から、事務所に新たな居候が増えたのだった。
***
2014.7.1