翌朝ー。
「すみません、私達のせいでお店に傷をつけてしまって…」
「いいよいいよ、店の物が盗られなかっただけでも充分だ」
謝るリアラに、店主は笑って返す。
依頼の悪魔を倒した報告をしに再び店へと訪れた二人は、店主に事の次第を話した。何度も何度もすまなそうに謝るリアラに店主は怒る気などないのか、笑って許してくれた。
「とはいえ、店の修理代に金がかかるから依頼料はなしになっちまうがな」
「ですよね…」
はぁ、とため息をついたリアラの肩に手を置いてダンテは笑う。
「まあまあ、金取られないだけいいだろ。こいつもいいって言ってるんだし」
「ダンテさんは少しは反省してください。本当にすみません、また依頼があったら遠慮なく呼んでください」
「あんたらおもしろいなぁ、まあ、また何かあったら呼ぶよ」
ひらひらと手を振ると、そうだ、と何か思いついたように店主が声を上げる。
「代わりと言ってはなんだが、これを持っていってくれ」
そう言い店主が指差したのは、先程リアラが返した魔具ーケルベロスだった。
店主の言葉にリアラは目を瞬かせる。
「え、でも…」
「いいって、店に置いて十年近く経つが売れやしないからな。あんたなら使いこなせそうだし」
「そう言ってんだ、せっかくだからもらっとけ」
「…はい。ありがとうございます」
ゆっくりと頷き、リアラは魔具を受け取った。