鎌やナイフなど、悪魔はいろんな武器を造ってダンテとリアラに攻撃をしかけたが当たることはなく、逆に二人の攻撃を受けて徐々に弱っていた。
『ぐっ…!』
「ただ武器を造って攻撃してるだけじゃ、俺達には当たらないぜ?」
挑発的な笑みを浮かべると、ダンテは向かってきた悪魔の触手を叩き斬る。そのまま突進し、突きをくらわそうとした、その時。
ガパッ
「!」
「ダンテさん、危ない!」
突然悪魔の頭部が割れ、身体と同じ赤い粘液が周りに飛び散る。技を繰り出していた最中のため、体勢を立て直しきれていないダンテに向かって悪魔の体液が降り注ぐ。避け切れないと判断し、被害を最小限に抑えようと頭の上でダンテが腕を交差した、次の瞬間。
キィ…ン、と甲高い音が響き、ダンテの周りに水色をした結界が形成される。リアラの氷の結界だ。悪魔の体液はダンテに当たることなく結界にぶつかり、滑り落ちる。体液が石畳と接した瞬間、ジュッ、と焼けるような音が響き、石が溶けた。
ー自分に結界を張ったのなら、リアラはー…
「つ…っ!」
ダンテがそう考えると同時に、小さく呻くリアラの声が聞こえた。ダンテが声のした方を見ると、左足を押さえて痛みを堪えるリアラの姿。
「リアラっ!」
ダンテは急いでリアラに走り寄る。悪魔の体液が掠ったらしく、彼女の左太腿は焼けて爛れていた。
二人の様子を見ていた悪魔が笑い声を上げる。
『いい気味よ、俺を馬鹿にするからそうなるのだ!』
「っ、テメェ…!」
ギリッ、と歯軋りするダンテの腕を掴み、リアラは首を振る。
「ダンテさん、私は大丈夫ですから…。これくらい、すぐに治ります。今はあの悪魔を倒すことに集中しましょう」
「リアラ…」
真っ直ぐな瑠璃色の目に見つめられ、ダンテは頷く。
「ああ…そうだな」
自分が油断をしたせいで、リアラにいらぬ怪我をさせてしまった。その分、今は冷静になって、少しでも早く目の前の悪魔を倒すべきだ。
そんな二人を、悪魔は嘲笑う。