休みなく歩き続け、ようやくダンテはフォルトゥナ城に着いた。
ここに来るまでの山道では何度か悪魔に行く手を阻まれたがダンテの相手にすらならず、愛銃で軽くあしらいながらここに来た。
城の入口が見えるところまで来たダンテは、ふいに足を止めた。
城の入口近くに、何かの影が見える。目を凝らして見てみると、それは自分より遥かに大きな身体をした狼だった。そして、その狼から感じる懐かしい、だがつい最近会ったばかりの気配。
狼に近づきながら、ダンテは口を開いた。
「…やっぱりここにいたか」
その声に反応し、狼―ゼクスはこちらを振り向いた。
「来たか」
「待たせて悪かったな」
「そんなことはない。あれからすぐに来てくれたんだな」
そう言ってほほえむゼクスは少し疲れた顔をしており、気配からしてもだいぶ魔力を消耗していることがわかる。
少し眉を潜めながら、ダンテは彼の隣りに並んだ。
「…どうだ?」
「益々弱っている…。このままでは、本当に…」
その先に続く最悪の結末を言葉にすまいとゼクスは唇を噛みしめる。
そして、顔を上げてダンテに問いかけた。
「…感じるか?リアラの気配を」
「…いや」
ゼクスにつられて顔を上げたダンテは、しばらく何かを探るように城を見つめた後、首を振る。
「…やはり感じられんか。身内の私でも、微かにしか感じられないからな」
眉を潜めて、ゼクスは呟く。
「微かに…って、かなり危険な状態じゃないのか?」
リアラと血の繋がりを持つゼクスでさえ微かにしか感じられないとは、悪い状態としかいえない。
驚きを何とか内に隠し、自分に問いかけるダンテに、ゼクスは重々しく頷く。