「本題に入るわね。今日は、二人に仕事を持ってきたの」
そう言うレディに、ダンテにも紅茶を差し出し、自分の分をテーブルに置いたリアラはソファに座りながら尋ねる。
「仕事を?今回はどこ?」
「珍しいことに、スラム街の中。武器屋や質屋が集まる一画があるんだけど…ダンテはわかるわね?」
「ああ」
「そこで店をやってる奴等が、悪魔に品物を盗られたって言ってるのよ。最近、ニュースで騒がれてる事件は知ってる?」
「あの、連続強盗事件?武器ばかりを狙ってるっていう…」
「そう、それ。ニュースではテロを企てる人間の仕業だって思われてるけど、被害を受けた奴等に聞いた感じ、どうやら悪魔の仕業みたい」
「その悪魔の特徴ってわかる?」
「暗がりで、よくは見えなかったみたいだけど…でかい図体に、触手みたいな手を持ってるらしいわ。ああ、あと身体の中心に一つだけ目があった、って言ってたわ」
「そう。うーん…」
考え込むリアラに、レディは首を傾げる。
「どうかしたの?」
「ああいや、昔、私が倒した悪魔に似てるなー、って…」
「ああ、確かに昨日リアラが話してた中に出てきた悪魔に似てるな」
「金属を食べるところとか、一つ目のところとか…。まあ、見てみないとわからないけれど」
「なら引き受けてくれるのね?」
「私はいいよ。ダンテさんはどうですか?」
「リアラがやるって言うなら、断る理由はないさ」
「決まりね。じゃあ、私は依頼人に話を通しておくわ」
残った紅茶を飲み干すと、レディは立ち上がる。
「それじゃ、私はこれで失礼するわ。リアラ、紅茶ごちそうさま」
「うん。また来てね、レディ」
「ええ、時間ができたらまた来るわ」
リアラに優しい笑みを見せると、レディは事務所を後にする。
「あいつ、お前には優しいな」
「そうですか?まあ、そう言わず、久々の依頼ですし、やる気出してくださいね」
「そうだな。狩りがいのある奴だといいんだが」
「仕事なんですから、あまりふざけないでくださいね」
「わかってるよ」
肩を竦め、ダンテは苦笑した。