夕食を終え、後片づけを済ませたリアラは銃の手入れをしていた。ダンテはシャワーを浴びにバスルームに行っている。
「よし、終わり」
クロスで愛銃を磨き、最後の仕上げを終えると自室へ持って行こうとリアラは立ち上がる。ダンテ愛用の机の横を通った時、ふと、机の上に置かれた双子銃が目に留まった。先程までダンテが手入れしていた二つの銃は、お互いに寄り添うように置かれている。
「……」
何となく気になって、リアラは机に手をつき、双子銃を覗き込む。じっと見つめていたリアラは、ふとあることに気づいた。
「…?何か書いてある…」
名前の下に、何か文字が刻印されている。リアラはその文字を目で追う。
『FOR TONY REDGRAVE BY .45 ART WARKS』
「トニーって…」
どこかで聞いたような、とリアラは記憶を辿る。
確か、自分がまだ小さい頃にダンテが家に来ていてくれた時、父との会話で彼がその名前を口にしていたような気がする。
そして、名前の後に続く、『BY .45 ART WARKS』の文字。リアラは手に持っている愛銃の銃身を撫でる。
「私のと、同じ…」
目の前のエボニー&アイボリーと同じように、ホワイトウルフにも同じ場所、同じ文字が刻まれている。
なぜ、今まで気づかなかったのだろう。ダンテと一緒に依頼をこなしてきて、何度も見ていたはずなのに。
大きさが違うだけでほぼ同じと言っていい形、かつてスミスから聞いた、当時、ニールが息子のように思っていた人物に銃を造っていて、その試作品をもらったという話。少し考えれば、全て繋がっていたと気づけたのに。
「灯台下暗し、ってやつかしら」
リアラがくすりと苦笑を零した時、バスルームの方から扉が開く音が響き、ダンテが姿を現した。