「クレアちゃん、おいしい?」
「うん、おいしい!」
「そう、よかった」
クレアの言葉にリアラは微笑む。
事務所に着いて荷物を整理してすぐ、リアラはキッチンに立った。クレアと孤児院の子供達の分のお菓子を作るためだ。
そうして作られたのが、今クレアが食べているクッキーというわけで。
「今、みんなの分も包んでるから、帰る時に持っていこうね」
「うんっ!」
「よかったな、クレア」
元気よく頷くクレアの頭をダンテが撫でてやる。
リアラがキッチンに立っている間、ダンテがクレアの相手をしてくれていた。調理の合間に見ていたが、楽しそうに会話をしている辺り、結構子供好きなのかもしれない。思わず笑みが零れた。
「リアラも食べたらどうだ?」
「これを包み終わったら少し頂きます。それに、そろそろ送る準備をしないと」
「おっと、もうそんな時間か」
ダンテは事務所の窓に視線を移す。窓の外は夕焼けに染まり始めていた。
クレアが来てまだ一時間も経っていないだろうが、近いとはいえ隣街だ、早く送り届けなくては日が暮れてしまうし、悪魔に遭遇する確率も高くなる。
「俺が送るか?」
「いえ、言い出したのは私ですから、私が責任を持って送り届けます。晩ご飯、ちょっと遅くなっちゃうけどいいですか?」
「ああ」
「すみません、ありがとうございます」
「ねぇ、お姉ちゃん、もっとお話ししよう!」
二人で話しているとクレアが声をかけてくる。リアラはしばし思案すると、苦笑して言う。
「じゃあ、これが終わったらちょっとだけね。お話が終わったら、お姉ちゃんと一緒にお家に帰ろうね」
「うん!」
元気よく頷くクレアに、リアラは柔らかな笑みを浮かべた。