次の日。
「二人とも、もう帰っちゃうの?」
「だいぶ元の姿に戻ってきたけれど、やることはまだまだ多いから」
「そっか…」
キリエの言葉にリアラは頷く。
昼になり、そろそろフォルトゥナに戻るという二人を見送るために、リアラはダンテと一緒に玄関に立っていた。
「また遊びに来てね、いつでも待ってるから」
「ええ、ありがとう」
「坊や、今度来る時は今よりも腕を磨いておけよ」
「言われなくてもわかってるよ」
それぞれ会話を交わし、やがてネロとキリエは街の外へと続く道を歩き始めた。
「ネロ、力が必要な時はいつでも言って!すぐにフォルトゥナに行くから!」
「ああ、その時は頼むよ!」
「うん、元気でね!」
こちらに向かって手を振るネロに手を振り返し、リアラは二人を見送る。二人の姿が見えなくなり、ゆっくりと手を下ろすと、ダンテがリアラの肩を叩く。
「さて、せっかく時間があるんだ、久しぶりに買い物デートとでもしゃれこむか」
「デートだなんて…ダンテさんったら…」
困ったように言いつつも、内心は出かけようと誘ってくれることが嬉しかった。なので、リアラは言葉をそこまでに留める。
「前に買った髪留め気に入ってくれたみたいだからな。今度は服でも買いに行くか」
そう言ってダンテはリアラの髪を束ねているバレッタに触れる。細長い長方形に深い青色で、繊細な薔薇の彫刻が施されたそのバレッタは、二週間前にダンテがリアラに買った物だ。
「なら、ダンテさんの服も買いましょうか。私が選んであげます」
あまり自信はないですけど、と付け足すリアラの頭を撫で、ダンテは微笑む。
「じゃあお願いするか。頼んだぜ」
「…はい」
つられて笑ったリアラは、出かける準備をするためにダンテの後に続いて事務所の中に入った。
***
2014.1.31