「それでね、ダンテさん、甘い物が好きなんだよ。特にストロベリーサンデーが好きで、それを食べてる時は子供みたいな顔をするの」
「あいつは昔から甘い物が好きだったからな」
昼食を食べながら、二人はたあいない話をする。
あちらでの暮らしを楽しそうに話す娘に、ゼクスは優しい笑みを浮かべる。
「よほどあちらでの暮らしが楽しいんだな。ダンテのことばかり話しているぞ」
「え、あ…」
父親の言葉に、リアラは顔を真っ赤にして俯く。そんなリアラの様子にくすくすと笑みを溢しながら、ゼクスは言う。
「明日、町から定期船が出るが…それに乗って帰るんだろう?」
「あ、うん」
そう、明日は週に一度の定期船が出る日なのだ。リアラはそれで帰るつもりでいた。
そうか、と頷くと、ゼクスはいずまいを正す。
「リアラ、食事が終わった後に渡したい物がある。片づけが終わったら私の部屋に来なさい」
「あ、はい」
真剣な目をした父親に、思わずリアラは敬語で返した。