村を出て森の中に入った悪魔を追い、二人は木々を掻き分け走る。悪魔は足が早く、なかなか距離が縮まらない。
「すばしっこい奴だ!」
「豹の姿をしていますからね、かなり足は早いと思いますよ」
話しながら二人が走っていると、離れた位置にいた悪魔が突然こちらを振り返り、尾を大きく振り上げた。次の瞬間、風を切る音が響く。
「!」
「おっと!」
危険を察知し二人が飛び退くと、地面に無数の刃が突き刺さる。そのままそこにいたら、串刺しになっていただろう。
体制を立て直し、二人は再び走り出す。数分程で開けた場所に出て、二人は一旦足を止め、辺りを見回す。
「見失ったか…」
「足が早い上に、刃を飛ばして攻撃してその間に逃げる、ですか…。このままだと距離が縮まりませんね」
大きくため息をつくと、リアラはダンテに視線を移す。
「ダンテさん、一つお聞きしたいことがあるんですけれど」
「何だ?」
「ダンテさんは乗り物に乗りながら、銃で悪魔を狙うことってできますか?」
例えばバイクとか、と尋ねるリアラに不思議そうに首を傾げつつもダンテは頷く。
「ああ」
「そうですか、それなら安心しました。一つ思いついたことがあったんですけど、そのことを確認したかったので」
「思いついたこと?」
「はい。準備をするので、少し待っててもらえますか?」
ダンテが頷くと、リアラはダンテから少し距離を取り、静かに目を閉じる。彼女の魔力が高まると同時に、ゴウッと音を立てて吹雪が彼女を包み込んだ。思わずダンテは腕をかざす。
すぐに吹雪は治まり、ダンテが腕を下ろすと、そこにいたのは。