―夜、人々が眠りにつき、静寂が村を包み込む頃。
ザッ…ザッ…
微かな音を立てて歩く一つの影。影は何かを探すように辺りを見回す。
「……」
しばらく立ち止まっていた影は目的の物を見つけたのか、再び歩き出した。角を曲がると、少し離れた位置に人影を見つけた。音を立てないように注意を払い、少しずつ距離を縮めると、影は大きく跳躍し、人影に襲いかかった。
だが。
「!」
突然、人影がこちらを振り返り、自分に向けて銃を構えた。何とか身体を捻ってかわすと同時に銃声が響き、先程まで自分がいた場所を銃弾が飛んでいく。
着地してすぐに距離を取ると、人影は銃を構えたまま纏っていたマントを取り払う。
「俊敏ね。これだと村の人達が逃げられないわけだわ」
人影―リアラは自分を襲おうとした悪魔を見据える。
悪魔は豹のような姿をしていた。黒い身体に金属のような鋭い爪を持ち、紅い目でこちらを見ている。尾の先も刃物のような物が付いており、月の光を浴びてギラリと光った。
悪魔はリアラを見据え、口を開いた。
『貴様…人ではないな。だが、我等とも違う』
「だったら何?あなたには関係ないでしょう?」
「リアラの言う通りだな、お前には関係のないことだ」
会話に加わるように声が響き、近くの建物の屋根から人影が舞い降りる。突然現れた人物に悪魔は驚き、低く唸る。
『貴様等、デビルハンターか!』
「ご名答。わかってんならさっさと消えてもらおうか」
そう言って人影―ダンテが銃を構えると、悪魔は身構えた後、大きく跳躍し、建物の屋根に飛び乗った。そのまま建物を伝い逃げていく。
「追うぞ、リアラ!」
「はい!」
二人は悪魔の後を追って走り出した。