「暇だな…」
ふぁぁ…と長いあくびをし、退屈そうに男は呟く。
赤いコートに身を包み、年期の入った机に無造作に足を投げ出している男。この男こそが事務所『DevilMayCry』の主―ダンテである。
事務所は、表向きは便利屋だが、裏では悪魔退治の依頼を請け負っている。
だが、ここ最近、悪魔退治の依頼はほとんど入ってこない。いくつか入ってきた依頼も相手は下位の雑魚悪魔ばかりで、退屈さは増すばかりだった。
「もっとましな依頼はねぇのか…」
思わずダンテはため息をつく。こんなことを言っても、自分を満足させるような依頼がくるとは思っていないが。
ピザでも食べて気を紛らわすか、そう呟き、ダンテが机の上の電話に手を伸ばした時だった。
「……」
何かの気配を感じ、電話に伸ばしかけていた手が動きを止める。
す、と顔を上げ、ダンテは事務所の扉に視線を向けた。
「……」
事務所の扉を凝視しながら、ダンテは懐からエボニーとアイボリーを取り出し、構える。
すると、事務所の扉をすり抜けて、青い光の球が事務所の中に入ってきた。
「…わざわざここに来るとは、度胸のある奴だな」
にやりと笑いながら、ダンテは銃の引き金を弾こうとした。
だが。
「…?」
光の球が発する気配に、ダンテは不思議な感覚を覚える。
(なんだ…?この懐かしい感じは…)
ダンテがその感覚に戸惑っていると、突然、光の球が強い光を放った。
「!」
ダンテが再び身構えた時、光の球は姿を変えていた。
首まで隠れるロングコートに見を包み、自分の身長ほどもある長い槍を担ぎ、少し跳ねた長い髪を後ろで結った男性だった。
その姿を見て、ダンテは目を見開く。
「あんたは…」