「こりゃあ酷いな…」


目の前の景色に眉を寄せ、ダンテは呟く。
バイクを走らせて一時間、目的の村についたダンテとリアラは依頼主である村長の家へ向かった。村長は喜んで二人を迎え入れ、今回の依頼について詳しく話してくれた。昨夜も一人襲われたらしく、『どうかお願いします』と悲痛な面持ちで告げられた。
今は、村長から聞いた昨夜村人が襲われたという現場に来ているのだが、そこら中村人を襲ったという影の爪跡だらけで血も飛び散っており、酷い有り様だった。


「すごい血の匂い…何度も攻撃したのね」


未だに生々しく残る血の匂いに鼻と口元を手で押さえ、リアラは呟く。自分ですら顔をしかめたくなるほどだ、嗅覚の鋭い彼女には辛いだろう。


「大丈夫か?」

「はい…やっぱり、悪魔の仕業ですね」

「ああ、獣じゃここまではできねえし、何より悪魔特有の臭気が漂ってる」


すん、と鼻を鳴らしダンテは答える。


「足跡の大きさからしてかなりでかいな。お前の身長超えてるかもな」

「単体で人を襲うくらいですから、中位か上位の悪魔の可能性が高いですね」


二人でそれぞれ悪魔について推測すると、ダンテは踵を返す。


「ここでとやかく言っても始まらないしな、一旦宿に戻るぞ」

「はい」


頷き、リアラはダンテに付いてその場を後にした。




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