「おば様…」
幼い頃、母に見せてもらった写真、そして、ダンテの事務机の片隅に飾ってある写真。―ダンテの母・エヴァにそっくりだった。
リアラの声に気づき、二人がこちらに視線を移す。
「もしかして…前の仕事でダンテが一緒に仕事した子かしら?」
「あら、じゃああの子が噂の子?」
「ええそう、ダンテが待ってた子」
「あの…」
話についていけず、おそるおそるリアラは声をかける。すると黒髪の女性が苦笑し、こちらに向かって声をかけた。
「ああ、勝手に話を進めて悪かったわ。まずは自己紹介をするべきだったわね。私はレディ、彼女はトリッシュ」
「よろしくね」
「あ、えっと、私はリアラ・フォルトゥナといいます。よろしくお願いします…」
リアラがぺこりと頭を下げると、レディとトリッシュは苦笑した。
「礼儀正しい子ね。少しはダンテにも見習わせたいわ」
「ダンテに他人を見習う気なんて全くないでしょうけどね」
「それもそうね」
トリッシュの言葉に頷くと、再びレディはリアラを見やる。
「リアラ、いきなりで悪いけど、ダンテはいる?」
「ダンテさんなら、シャワーを浴びてますけど…」
いつも通り昼過ぎに起きたダンテは昼食を食べた後も眠そうにあくびを噛み殺していて、見かねて自分が眠気覚ましにシャワーを浴びたらどうだと提案したのだ。
「すぐに出てくる?」
「さっき入ったばかりですから、少し時間がかかると思いますけれど…」
そう、と頷くと、レディは目の前のソファを指差して提案する。
「なら、少し話をしない?さっきの言葉も気になるし、ね」
「さっきの言葉?」
「あなたが呟いた、『おば様』って言葉」
レディの言葉にリアラは目を見開くが、すぐに冷静になって頷く。
「…わかりました。私も、お二人に聞きたいことがあります」
「決まりね」
レディは満足そうに頷いた。