必要な物の買い出しを終え事務所に帰ってくると、時刻はすでに夕方の4時を回っていた。店から送ってもらった棚の移動をダンテに任せ、リアラはエプロンを着け、調理の邪魔にならないように髪を結ぶと、さっそく夕食の準備に取りかかった。
ストロベリーサンデー用のジャムも一緒に作ろう、そう思ったリアラは買ってきた苺を取り出すとへたを取り、水洗いして鍋に入れる。それに砂糖と搾ったレモン汁を加え、軽く混ぜると調理台の隅に置いた。苺から水分が出てくるまでは置いておかないといけないので、一時間ぐらいはこのままだ。
苺を置いている間に夕食を作ろう、そう思い、リアラが野菜と鶏肉を切っていると、キッチンの入口からダンテが声をかけてきた。


「リアラ、あの棚、部屋に運んでおいたぞ」

「ありがとうございます、ダンテさん」


リアラが礼を言うと、キッチンに入ってきたダンテは調理台を覗き込み、隅に置いてある鍋に気づく。


「あの鍋は?」

「苺が入ってます。ジャムを作るために砂糖を混ぜて置いてるんですよ」


そう言いながら、ボウルに入れた鶏肉に塩コショウを加えて混ぜるリアラ。しゃべりながら料理をするとは器用なものである。


「ジャム?わざわざ作ってんのか?」

「手作りの方がおいしいですからね。母様もよく作ってくれてました」


リアラの言葉にああ、とダンテは頷く。
リアラの母フィーリアはジャムを作るのが得意で、この時期になるとよくお手製ジャムを作っていた。キッチンから甘くおいしそうな匂いがする度に心踊らせていたものだ。


「ジャムも一緒に作ってしまいますから、晩ご飯までに少し時間がかかってしまいますけれど、いいですか?」

「ああ、構わない。気にするな」


作ってもらってる身で文句など言おうはずもない。ありがとうございます、と返すと、リアラは夕食の準備を再開した。




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