「着いたぞ」


数分後、戸惑うリアラを連れてダンテがやって来たのは、色とりどりの女性物の服が並ぶ店だ。入口から見える店内は女性の客のみが行き来している。
構わずにダンテは店に入ると、未だに戸惑うリアラの背中を押した。


「ほら、見て回ってこい」


困ったようにダンテを見上げた後、観念したようにリアラは店内を歩き始めた。ダンテは彼女の後ろについて歩く。
歩きながら陳列された服に目をやり、時々服を手に取り、考え込むリアラ。服は簡単には決められないようで、あっちに行ったりこっちに行ったりと何度も店内を行き来している。それでも、彼女の見るところはある程度決まっていて、その様子を見ていたダンテは心の中で呟く。


(レースとかリボンの付いたやつはあまり好きじゃないんだな)


どうやら、女の子らしいひらひらしたスカートや可愛らしい飾りが付いた服は好きじゃないらしい。彼女が見るのは飾り気のないシンプルな物ばかりで、スカートもほとんど見ていない。手に取るのはショートパンツやインナーなど、動きやすい服ばかりだ。
ダンテが考えている内にようやく決まったのか、リアラは三着ほど服を手に取った。


「決まりました」

「それでいいのか?」

「はい」


頷くと、レジに行ってきますね、と言い、リアラは歩き出す。だが、少し行ったところでリアラは足を止めた。


「あ…」


リアラが目を留めたのはマネキンが着ている白いニットワンピースだった。飾りのないシンプルな物で、肩が露出するタイプのためか、中に黒いノースリーブが合わせてある。
リアラの様子に気づいたダンテがマネキンを見ながら尋ねる。


「気になるのか?」

「え、あ…」


ダンテの声にはっと我に返り、リアラは困ったように視線をさ迷わせる。


「着てみたらどうだ?似合うと思うぞ」

「…その、こういうの着たことがないんです…」


だから自信がなくて…、と言うリアラに、ダンテはしばし思案した後、こう切り出した。


「いい機会だし、買ってやるから着てみろよ」

「えっ!?」


予想外の言葉にまたも驚いたリアラは店員を呼ぼうとするダンテの服を掴み、急いで引き止める。


「い、いいですよ、自分で買います!」


リアラがそう言うと、ダンテはニヤリと笑って返す。


「ほー、じゃあ着るんだな?」


その言葉にしまった、と思ったリアラだったが、買わないと言ってもダンテが買ってしまうのは容易に想像ができてしまう。
ため息をついたリアラは、ワンピースに合わせるインナーを探しにまた店の中を回ることとなった。




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