「けっこういろいろとあるんだな」
「本当ですね」
中に入り、二人は感嘆の声を上げた。実際に中に入ってみると思っていた以上に種類が豊富で、加えて食器だけでなく、やかんや鍋など調理道具も揃っていて、キッチンで使う物は一通り揃えられそうだった。
「時間があるし、一通り見て回ったらどうだ?」
「ありがとうございます、そうします」
嬉しそうに頷くと、リアラは店の中を見て回り始めた。ダンテはゆっくりとリアラの後についていく。
リアラはシンプルな白い皿やカップなど、自分と来客用の食器を籠に入れると、他に使える物があるか見て回る。ふいに、ダンテが声をかけてきた。
「リアラ、こっちにエプロンあるぞ」
その言葉に振り返り、リアラがダンテの元に歩いていくと、ダンテの指差す先には様々な種類のエプロンがあった。
「やっぱり、料理する時ってエプロン使うのか?」
「そうですね、料理している時って粉や油が飛んだりしますから…服が汚れないように着けますよ」
「なら、一つ買っていくか?」
「そうですね、あると便利ですし、買っていきます」
頷くと、リアラはエプロンを手にとって選び始める。数分後、リアラは一つのエプロンを手にとった。
「これにします」
リアラが選んだのは、青系のチェック柄のエプロンだった。
「チェックが好きなのか?」
「はい、それに好きな色なので」
「そうか、なら買ってこい」
「はい」
嬉しそうに笑い、レジに向かっていったリアラを見つめ、ダンテは柔らかな笑みを浮かべた。