▽ 彼女について 2
「確かに山を削ってしまったのは死神さんだけど、地面についた爪跡はダンテがやった物もあるのよ?開いた穴は全部ダンテがやった物だし。忘れた?」
「…覚えてます」
「私、なるべくこの辺りを傷つけないようにって言ったはずなのに、相手の魔獣が『プラチナ』だからって興奮して威力の高い技を連発して…すでにその時点で地面が傷だらけだったじゃない。誰が直すと思ってるの?」
「…リアラだな」
「そうね、私ね。それに、私は土の属性ではないから直すのにはそれなりに時間がかかるんだけど?…ダンテが大怪我をしなかったのはよかったけど…」
ボソリと呟やかれた言葉にダンテは目を瞬かせると、フ、と笑う。
「…心配させて悪かった」
「…うん」
リアラの頭に手を置いてダンテが詫びると彼女は頷く。
「話は終わったか?」
「!」
ふいに声をかけられてリアラが顔を上げると、いつの間に喧嘩が終わったのだろう、死神がこちらを見ていた。
「はっ、はい!何でしょう!?」
「そう慌てることもないだろうに。見られて困るものでもないだろう?」
見ていて面白かったがな、と死神は笑う。隣りにいるルティアは呆れた顔をしている。
「お前達がよければ、私がここを直すがいいか?」
「え、でも…」
「お前達が受けた依頼だったのに私が余計なことをしてしまってこうなったからな、後始末くらいは自分でするさ。それに、私が直した方が早い」
「…すみません、ではお言葉に甘えてお願いします」
「ああ。ルティア、お前もそっちに行っていろ」
「…わかった」
まだ納得していないようだったが渋々頷き、ルティアは二人の方へ移動する。三人で死神が魔術で地面を直すのを見る中、ルティアが口を開いた。
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