▽ 彼女について 1
「どうしよう…」
リアラは困り顔で呟く。
地面には至るところに穴に爪跡に焦げた跡、連なる岩山は一部が大きく抉れている。数時間前に来た時とはだいぶ変わってしまった景色に、依頼主にどう説明したものかと悩むリアラの近くでルティアの怒り声が響く。
「死神さんやりすぎ!どうするの、これ!」
「手応えのある奴が相手だったからつい力が入ってしまってな。何、これくらいなら十分もあれば元に戻せる」
「つい、じゃないよ!悪かったって思ってる!?」
悪びれもせずに答える死神の言い方が気に入らないのか、ルティアは噛み付くような勢いで叫んでいる。
(これくらいなんだ…)
死神の考える規模と自分の考える規模の基準が違い過ぎて、あはは…と乾いた笑みしか浮かばない。尚も続く二人の口喧嘩を見ていたリアラに、隣りで同じように二人の様子を見ていたダンテが呑気な口調で話しかける。
「まあ、いいじゃねえか。あいつが十分で元に戻せるって言ってるんだ、心配しなくても大丈夫だろ」
「…ダンテ?」
ダンテの方を振り返り、ニッコリと笑うリアラの目は笑っていない。やばい。それを見たダンテの顔が引きつる。
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