▽ 夜闇に浮かぶ華 2
「ん、美味い」
「そうですか、よかったです」
サンドイッチを口にし笑みを浮かべるダンテに、カフェオレの入ったカップを片手にリアラも微笑む。
「心配性だな、お前は。そんなに心配しなくともお前の作る飯は美味い、俺が保証する」
「ありがとうございます。家族以外の人に作ったことがないのでどうしても心配で…」
「こういうのに関して俺は嘘はつかねえよ、不味いなら不味いって言うさ」
「ふふ、そうですか」
くすくすとリアラが笑っていると、ふいにコンコン、と何かを叩く音が響く。
「梟便か」
ダンテの言葉にリアラが後ろを振り返ると、窓の向こうに茶色い小さな梟がいて嘴でガラスをつついている。窓へと向かい、リアラが窓を開けると梟は窓枠に降り立つ。
「お疲れ様」
リアラが指で優しく梟の頭を撫でてやると、梟は気持ちよさそうに目を細める。脚につけられていた紙を外し、リアラはそれを開いて読み始める。
「……」
読むにつれ、リアラの目が細められる。ダンテにはリアラの後ろ姿しか見えなかったため、どんな顔をしているのかはわからなかったが、雰囲気から只事ではなさそうだと察した。
リアラが振り返る。
「ダンテさん」
「ん?」
「食事中すみません、少し席を外します。返事を書かないといけないので」
「ああ、わかった。俺のことは気にしなくていい」
「すみません、ありがとうございます」
ひらひらと手を振るダンテに軽く頭を下げると、おいで、と梟に声をかけ、リアラは自室へ向かう。その後ろ姿を見送り、ダンテはカフェオレを一口口にした。
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