▽ 月の満ちる夜に 6
家のある森に着いた時にはもう日が暮れていて、辺りは真っ暗だった。幸い、今日は満月だから月の光が足元を照らしてくれているけど。
「はぁ…」
森の中を歩きながら、ため息をつく。帰り際のネロとの会話を思い出して、キリエやクレドさん、ネロに心配させている自分が嫌になる。
「……」
どうしたらいいんだろう。ネロの言う通り、パートナーを持つべき?
「でも…」
誰であっても、目の前で傷つくのは見たくない。自分のせいなら、尚更。
「…やっぱり、いい」
パートナーは持たなくていい。自分のことは自分で何とかする。
家のある大木が見える。もうすぐ家に着く、今日はお風呂に入って、紅茶を飲んで、ゆっくり休もう。
…そう、思っていたのに。
「…やっぱり、こうなるのね」
森がざわつく。生温い風が吹いて、周りに巨大な蛇の魔獣が姿を現した。ざっと見て十体。
「今日くらい休ませてよ…」
毎度毎度、嫌になる。今日は気分だって落ち込んでいるのに。
「今日は気分がよくないの…さっさと終わらさせてもらうわよ!」
杖を構えて、私は目の前の魔獣に向かって走り出した。
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