▽ また一つ、君を知る 4
先に外に出て待っていたダンテはこちらに近づく足音に気づき、振り返る。
「ごめん、お待たせ」
『ああ』
手を振りながらかけ足で来たリアラは布でできた鞄を肩にかけている。採った薬草を入れる鞄だろうか。
『それに採った薬草を入れるのか?』
「うん、そうだよ。後は薬草を採る時に必要な道具を入れてるの。…よし、じゃあ行こうか。今日は私が案内するから、私の杖に乗ってね」
『リアラが嫌じゃなかったら、リアラの肩に乗りたいな』
「肩に?私は構わないけど…そっちの方が楽?」
『ああ』
「そっか。いいよ、おいで」
杖を左手に持ち替え、リアラは右手を差し出す。バサリと翼を羽ばたかせリアラの右手に乗ったダンテは腕を伝い肩に来ると、身体を預け、ぶら下がるような姿勢を取る。
「じゃあ、行くよ。しっかり掴まっててね」
『ああ』
ダンテが頷いたのを確認して、リアラは杖に座る。杖に魔法をかければふわりと身体が宙に浮き、目的地に向かって飛び始めた。
『どの辺りに行くんだ?』
「森の奥の方。今の時期にしか採れない薬草はその辺りに生えてるから」
『そうか。…いつもは自分で飛んでるが、こうやって誰かの肩に乗って飛ぶのもいいもんだな』
「そっか。ふふ、私がダンテの背中に乗って飛んでる時と同じだね。たまにはこうして飛ぶのもいいかもね」
『ああ、そうだな』
何気ない会話に気持ちが綻ぶ。たわいもない話をしながら、二人は森の奥へと向かった。
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