DMC×魔女パロ | ナノ


▽ また一つ、君を知る 1

時々、開けたままの窓から柔らかな風が室内に入り、白いカーテンを揺らめかせる。部屋の中を流れる風に心地よさを感じながら、リアラは本のページをめくる。


「……」


パラ、パラ、と本をめくる音が室内に響く。普通の本よりも大きく分厚いそれには植物の絵と名前、効能について事細かに書かれている。常界のありとあらゆる薬草が載ったこの図鑑は、リアラが小さな頃から薬草の知識を得るための勉強で使い、一人前になった時に母親から譲り受けた大切な本だ。少し色褪せてしまっているが、大切に扱ってきたためか破れや穴はない。
本を読み進めていたリアラは、視界の隅で身動いだ影にページを捲る手を止めた。


「おはよう、ダンテ。よく眠れた?」

『ああ』


ふわぁ、と口を大きく開いてあくびを一つ、グッと背を伸ばすと、ダンテはお座りの態勢を取る。
自分の部屋はそれ程広くなく、魔獣姿のダンテが入るとほとんどスペースがなくなってしまうのだが、今は違う。同じ魔獣姿ではあるが子猫と同じくらいの大きさになっている彼は、自分の勉強の邪魔にならないように机の隅にちょこんと腰かけている。
最近見るようになったその姿は彼曰く何となくでなっているらしく、この姿を見るとついつい頭を撫でたくなってしまう。最初、頭を撫でてしまった時は怒られるかと思ったがそんなことはなく、むしろやってほしいと言わんばかりに擦り寄ってくるものだから、今ではそれが普通になってしまった。けれど、こうやって彼から近寄ってくることが増えたのは気を許してくれているのかな、と内心嬉しかったりする。


『腹減ったな…』

「あ、もうこんな時間?今からお昼ご飯作るね、ちょっと待ってて」

『俺も一緒に行く』


立ち上がって本を棚に仕舞い、部屋を出ようとしたリアラに声をかけ、ダンテは彼女の肩に飛び乗る。


「いいけど、すぐにはご飯できないよ?」

『どうしても我慢できなくなったら余った材料でもつまみ食いするさ』

「もう…」


苦笑しつつ、リアラはダンテの頭を撫でる。気持ちよさそうに目を閉じる彼に優しい笑顔を向けて、リアラは部屋の扉を開けた。

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