▽ 結ぶのは、一人だけ 15
「ダンテ、お風呂空いたよ。…あれ?」
シャワーを浴び終え、リビングへとやってきたリアラはそこにいるはずのダンテがいないことに首を傾げる。
「どこに行ったんだろう…」
キョロキョロと辺りを見回していたリアラは、外から感じ慣れた気配がすることに気づく。近くの窓から外を覗くと、家の建つ大木の前に見慣れた後ろ姿を見つけた。姿はよく見えないがもう一人いるようだ。女性、だろうか。
(誰かと話してるみたい…あ、もしかして、死神さんのところのホムンクルスさんかな?)
彼女と別れる時に後で杖や銃をホムンクルスに持っていかせると言っていたから、おそらくそうだろう。リアラがそう考えていると、女性がこちらに気づいたのか、深々とお辞儀をした。反射的にリアラもお辞儀を返す。女性は一言二言ダンテと話すと、再びお辞儀をしてその場を去っていった。ダンテが踵を返したのを見て、こちらに戻ってくる彼を出迎えるため、リアラは玄関に向かう。玄関の扉を開けると飛んで戻ってきたのか、翼を仕舞う彼の姿があった。
「風呂から出てたんだな、気づかなくて悪かった」
「ううん、いいの。私の代わりにあの人から荷物を受け取ってくれたのね、ありがとう」
そのまま杖や銃を受け取ろうとするリアラをダンテは制する。
「いい、俺が運んでおく」
「え、でも…」
「お前はまだ体調が万全じゃないだろ、これくらいはやっておく。お前の部屋でいいのか?」
「…うん、ありがとう。じゃあ、机の上に置いてもらえるかな?」
「わかった。…リアラ」
リアラの部屋へと歩き出したダンテは一度足を止め、リアラの方を振り返る。
「何?」
「…この後、少し、話がある。いいか?」
「うん、いいよ。じゃあ、私は飲み物を用意しておくね」
「ああ」
頷き、ダンテは再び歩き出す。真剣な目をしていたから、何か大事な話なのかもしれない、そう思いながら、リアラは飲み物を用意するためにキッチンに向かった。
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