▽ 結ぶのは、一人だけ 3
薬棚から必要な薬を取り出していたルティアは時計を見てあ、と声を上げる。
「そろそろリアラが来る時間。お茶の準備をしておかなくちゃ」
時計は約束の時間の十分前を示している。バスケットに薬を詰めると一旦応接間のソファに置き、キッチンに入ったルティアは紅茶と茶菓子の用意を始める。
「今日のお茶菓子は何にしようかな…あ、前にお店で買ったマカロンがあるからそれにしよう!」
箱からマカロンを取り出し、皿に並べる。二人分のティーカップを用意し、紅茶を淹れるためのお湯を沸かしていると、コンコン、と玄関の扉をノックする音が聞こえた。
「こんにちは、リアラです」
「あ、来た!」
軽い足取りで玄関に向かい、ルティアは扉を開ける。
「リアラ、いらっしゃ…」
明るい声で出迎えたルティアだったが、目の前にいたリアラを見た瞬間、驚きの声を上げる。
「リアラ、その顔どうしたの!?」
「ああ、えっと…ちょっと、ね」
苦笑するリアラの目元にはうっすらと隈ができていて、声もどこか元気がない。しばらく会わないうちに何があったというのか。
「何かあったの?私でよければ相談にのるよ?」
「ありがとう。でも大丈夫、私個人のことだから」
「その顔で言われたって説得力ないよ、ちゃんと聞かせて」
意地でも引かないと言わんばかりのルティアの目に、一旦顔を伏せ、リアラは頷く。
「…わかった。長くなると思うから、先に仕事を終わらさせてもらってもいいかな?」
「…うん」
中に入ったリアラを気遣いながら、ルティアは玄関の扉を閉めた。
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