▽ 仕事以上の 11
「…どうして…」
「?」
「どうして、ここまでしてくれるんですか…?」
震える声で尋ねたリアラに、んー、と少しの間思案したルティアは答える。
「だって、貴女は何も悪くないでしょう?魔獣は勝手に貴女についてきたんだし、連れてきたくて連れてきたわけじゃないし」
「っ、それでも、下手をしたらあなた達を傷つけていたかもしれないんですよ!?」
「そんなに心配しなくても自分の身は自分で守れるし、死神さんもバージルもそんなにやわじゃないよ」
それに、とルティアは続ける。
「あんな悲しい目をする人を、放っておけないよ。何も悪いことをしてないのに、全部自分のせいにしちゃって…」
「ルティアさん…」
ルティアはバスケットを持つリアラの手に、そっと自分の手を重ねる。
「大丈夫、リアラさんはいい人だよ。あれだけ私達を気遣ってくれる、優しい人だもの。辛いことでもちゃんと教えてくれる、しっかりした人だもの。だから…」
リアラの目を真っ直ぐに見つめ、ルティアは笑顔で告げる。
「私と、友達になって!」
「…っ!」
その目と同じ真っ直ぐな言葉に、リアラは泣いてしまいそうになる。友達、なんて、その言葉を聞いたのはキリエの時以来だろうか。
「…なら」
「?」
「ゆっくりお茶を飲みながら、お話ししませんか?せっかくお菓子を作ってきてくれたことですし」
「…!うん!」
ぱあっと顔を輝かせて大きく頷いたルティアに、リアラも笑顔を浮かべたのだった。
***
2017.7.23
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