DMC×魔女パロ | ナノ


▽ 仕事以上の 10

「よし、これで終わりね」


バスケットの中に薬草の入った瓶を詰め終え、リアラは一息つく。
今日は配達の仕事が早く終わったため、昼過ぎから明日の配達する薬草を用意していた。用意の終わったバスケットを小さなテーブルに置いたリアラは、バスケットを仕舞っている棚の一ヶ所に空きがあることに気づく。


「……」


そこに仕舞ってあったバスケットは、ここにはない。一週間前、ルティアの屋敷に配達に行った時に忘れてきてしまったから。


(取りに行く勇気は、ないな…)


次の日にすぐお詫びの手紙を送ったとはいえ、あんなことをしてしまったことを考えると、取りに行く気にはなれなかった。


(新しい物を作ってもらおう)


時間がある時に近くの町に行ってお願いしてこよう、そう思いながらリアラは薬草庫を出る。リビングに戻ると、やけに外が賑やかなのに気づいた。


(?鳥達が鳴いてる…何かあったのかな?)


明るい鳴き声から悪いことではなさそうだけど、そう思っていたリアラは聞こえた声に耳を疑った。


「あ、ここかな?」


聞いたことのある声に、急いで窓に向かう。開けていた窓から外を伺うと、家の立つ大木の下に一つの影が見えた。青い三角帽子に、白い外套、帽子から覗く金色の髪。それに何より、一週間前に会った少女の気配。


「ルティアさん!?」

「あ、いた!」


リアラさーん、とこちらに手を振るルティアに、慌てて杖を持ち、玄関に向かう。外に出て、杖を使って地上に降りるとリアラはルティアに近づく。


「ルティアさん、どうしてここに…」

「忘れ物をしていたから、届けに来たんです」


はい、どうぞ、そう言って手渡されたのは、一週間前、配達の際に彼女の屋敷に忘れてきたあのバスケットだった。


「わざわざ、持ってきてくださったんですか…?」

「仕事に必要な物でしょう?ないと困ると思って」


あとお土産も入れてきました、そう言う彼女に受け取ったバスケットの蓋を開けると、中には透明な袋に入ったマフィンが入っていた。持つと仄かに温かくて、作ってからそれ程経っていないとわかる。


「手作り、ですか…?」

「家に尋ねるならせっかくだから、と思って。よかったら、一緒にお茶しませんか?」


そう言って笑うルティアに、リアラは俯く。

prev / next
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -