DMC×魔女パロ | ナノ


▽ 気遣いの意味 8

一週間後−。
朝食を終え、片付けをしていたリアラは鳴り響く電話の音にキッチンから出てリビングへと向かう。


「はい」

「こんにちは、リアラ。頼まれてたダンテさんのコートができたから、連絡させてもらったわ」

「ありがとう、キリエ。今日の夕方、仕事が終わったら寄らせてもらうね」

「ええ、待ってるわね」

「うん」


カチャリと受話器を戻すと、後ろで話を聞いていたダンテが話しかけてくる。


「できたのか?」

「うん。午後にも配達があるし、夕方に寄らせてもらうって伝えたわ」

「そうか。今日は数が多いんだよな?」

「うん、午前も午後も件数が多いね、合わせて十件ある。配達先まで距離もあるし。今日は忙しくなるけど、よろしくね」

「ああ。じゃあ、準備が出来次第呼んでくれ」

「うん」


頷き、リアラはキッチンに戻る。洗った食器を手早くすすぎ、拭いて籠に入れていく中、ふと思う。


(そうだ、コート…ダンテ、楽しみにしてくれてるし、渡すまで見せない方がいいよね)


キリエは注文の品を渡す時、必ずできた品を見せてこれでいいか確認する。いつもならば隣りにダンテがいても構わないのだが、今回の品はダンテへ贈る物だ、彼には渡した時に見てもらいたい。


(少しだけ、お店の前で待っててもらおうかな)


夕方に取りに行くとなると外で待ってもらうには少し寒いが、理由を話したら彼はわかってくれるだろう。そうすることを決めて、拭き終わった食器を片付けるとキッチンの角にある入り口から外へ出て、薬草庫へ続く階段を下りる。薬草庫に入ってあらかじめ準備しておいた薬草の入ったバスケットを取って出て、階段を上がる。家に戻って身支度を整えようとリビングを通りがかると、リアラ、とダンテが声をかけてきた。


「部屋まで持っていくと大変だろ、それは俺が預かっておく」

「え、いいの?」

「ああ、気にせずに準備してこい」

「うん、ありがとう」


彼の好意に甘えて持っていたバスケットを預け、リアラは自室に入る。小さな気遣いだけど、それがありがたくて、嬉しい。メモとペン、お金の入った皮のポーチを腰に付け、上着を羽織り、杖を持つと部屋の扉を開ける。


「ダンテ、お待たせ。準備できたよ」

「ああ、じゃあ行くか」

「うん。あ、バスケット持つよ!」

「外に出てからでいい」


いつものように会話を交わしながら、二人は家を後にした。

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