DMC×魔女パロ | ナノ


▽ 気遣いの意味 2

「コート?」

「うん。魔獣の姿でいるのなら必要がないと思うけど、今は人の姿でいることが多いでしょう?その服だけだと寒いだろうし、必要かなって思って」


首を傾げたダンテはリアラから理由を聞いて、ああ、なるほど、と納得する。


「ありがとな。けど、人型でも寒さはそれなりに耐えられるし、どうしてもって時は魔獣の姿に戻れば平気だ」


気遣ってもらえるのは嬉しいのだが、彼女に負担をかけるわけにはいかない。契約している者として彼女の身を守る役目はあるものの、実際に生活を支えているのは彼女であり、彼女の働きがあってこその暮らしなのだ。金銭面で全く役に立っていない自分がこれ以上彼女に負担をかけるわけにはいかない。今まで契約してきた魔女にはこんなこと思いもしなかったのにと自分の心の変化に内心苦笑する。だから、気にしなくていい、そうダンテが言うと、リアラはじっとこちらを見つめて口を開く。


「…でも、『耐えられる』ってことは、寒いってことでしょう?私は、ダンテにそういうことで無理をしてほしくないわ」


静かに、案外真剣な声音で返されて、ダンテは目を瞬かせる。


「私のことを気遣ってくれるのは嬉しいわ、けれど、それでダンテが無理をしているのなら、私は嫌」

「リアラ…」

「いつも気遣ってもらってばかりだもの、これ以上気を遣わせたくないわ」


そう言うと、リアラはテーブルへ視線を落としてしまう。空気が悪くなってしまったことに、ダンテはやっちまった…と頭を掻く。


(そんなこと考えてたのか…)


普段はあまり物事を否定したり、拒否したりしないリアラがはっきりと嫌だと言うということは、それ程嫌だということだろう。けれど、いつも気を遣わせていると彼女は言うが、それは彼女だけにであって、他の者なら気遣おうとも思わない。無理をしているつもりもないし、むしろ彼女だからそうしたいのであって、負担などとは微塵も思っていないのだが。それに、自分より彼女の方が比べ物にならないくらい周りに気を遣っている。


(自分では気づかないんだろうな)


それを当たり前と思っている彼女だ、周りに言われない限りは気づくことはないだろう。まあ、それが真面目な彼女らしいと言えば彼女らしいのだが。内心苦笑しつつ、まずは誤解を解こうとダンテはゆっくりと口を開く。

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