▽ 覚えることはまだまだある 23
「そうだ、最後にバージルとリアラは同じ属性を持っている者としてお互いをどう思っているか教えてくれない?」
「え?私とバージルが?」
「…リアラをどう思っているか、か?」
「うん!」
期待を込めた目で見てくるルティアに、リアラとバージルは顔を見合わせる。
「ええっと…」
「…いい、偶には俺から話そう」
先を買って出たバージルは目線だけではなく身体ごとしっかりとリアラに向け、自分の思っていることを話し出した。
「俺は同じ属性を持つ者として、同じ年の者としてお前の実力はそれなりに認めている。同じ魔獣と魔女の子であるという境遇を抜きにしてもな」
「バージル…」
「元はルティアの案だが、今回の勉強会はそれなりに興味深かった。今度、機会があればお前と魔術の話をするのもいいかもしれん」
「…そっか。ありがとう、バージル」
そっけなくはあるが、これはバージルなりの好意なのだとわかる。何より、認めてもらえているのが嬉しい。今度は私だね、と言い、リアラも目線だけではなく身体ごとしっかりとバージルに向けた。
「私は、バージルは強いと思う。戦う上での魔力の使い方や魔術を発動する早さ、技の正確さ…私よりすごいところがたくさんある。魔獣と魔女の子っていう同じ境遇を抜きにして、バージルはすごいと思う」
「……」
「それに、私のことを一人の人として対等に見てくれた、大切な友達の一人。これからもいい関係を築いていけたらな、って思ってます」
「…そうか」
短い言葉だったが声音は穏やかで、口元は微かに笑っているように見える。バージルの表情にリアラも穏やかな笑みを浮かべる。ルティアも満足そうな笑みを浮かべると、死神の方を振り向く。
「はい、私からは以上です!」
おしまい!とビシッと手を上げるルティアに、死神はため息をつく。
「まあいいだろう。それなりに話も広がったし、知識も増えた、其れで良しとしよう」
「本当、死神さんは私にだけは厳しいよね」
「弟子に厳しくするのは師匠として当然の事だろう」
むぅ、と不服そうな顔をするルティアに死神は笑って返す。苦笑しつつ、リアラはルティアを宥める。
「まあまあ、ルティア。そんなに気にしないで、ね?一緒にがんばろう」
「…うん。よーし、いつか死神さんを見返してやるんだから!」
「ほう?その言葉、覚えておくぞ」
その日が楽しみだ、と死神は笑みを深める。ルティアがやる気になったのならいいかとリアラも笑い、さて、と軽く手を叩いてみんなに呼びかける。
「そろそろ休憩も終わりにして練習を再開しようか」
「そうだね、充分休んだし、そろそろ始めないとね!」
「練習がんばろー!」
ルティアとディーヴァは元気よく答え、リアラと一緒に片付けを始める。自分のパートナーの様子にそれぞれ優しい笑みを浮かべ、ダンテ達も片付けに加わったのだった。
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