▽ 覚えることはまだまだある 21
「意見ではなく質問になっていたが、ディーヴァにしてはやった方だろう。だが、お前も魔女の一人なのだから、魔術に関しての自分の意見を持て」
「うぅ、わかりました…」
「さて、最後はルティア、お前だ。あれだけ様々な事を叩き込んだんだ、良い意見を期待しているぞ」
「うわ、死神さんからの期待とか怖さしかない…」
笑顔の死神に顔をひきつらせるルティア。うーん、と少し思案した後、口を開いた。
「死神さんの期待に応えられるようなものではないけど、私、ずっと思ってたことがあるんだ」
そう前置きして、ルティアはバージル、次いでリアラを見る。
「バージルとリアラ、同じ属性を持ってても、こんなに魔法の使い方に違いがあるんだなって。魔獣と魔女で環境に違いはあるんだろうけど、性格とかの違いもあるのかな、って」
自分達の名前を挙げられるとは思わず、僅かだがバージルは珍しく驚いた顔をし、リアラは目を瞬かせる。
「もちろんバージルとリアラだけじゃないと思うよ、同じ属性の魔獣と魔女はたくさんいるし、多少の違いはあるだろうし。けど、偶然だけど自分のパートナーと友達の魔女が同じ属性で目の前で魔法を見る機会が多いと、こんなにも違うんだなって思ったの」
「…成る程な」
すぐに冷静さを取り戻したバージルはルティアの説明に頷く。リアラもそうね、と頷く。
「ルティアの言う通りだと思うわ。同じ属性の魔女同士、魔獣同士より、同じ属性の魔女と魔獣の方が大きな違いがある。生活環境の違いが一番大きいでしょうね」
「そうだろうな。常に戦いがあると言ってもいい魔獣の住む魔界に比べたら、魔女の住むこの常界は戦いなどほぼ皆無だからな。リアラのように魔獣を捕らえる生業をしていれば話は別だが。魔術の使い方に違いは出てくるだろう」
「戦いの回数なんて魔獣と魔女では比べものにならないでしょう。私のような仕事をしていたとしても微々たるものよ」
「そうなんだ。魔界って過酷だね…」
「魔界って怖いなあ…あたし、魔女でよかったかも」
「戦い嫌いなお前が行くと大変なことになるからな。まあ、魔女であるお前が魔界に行く必要はねえよ」
「そうだよね、あたしはここで平和に暮らしたいなあ」
ぽんぽんと軽く頭を叩く若にディーヴァはのんびりとした口調で返す。
「ルティアは私とバージルで魔法の使い方に違いがあるって言ったけど、具体的にはどういうところが違うと思ったの?」
リアラがそう尋ねると、ルティアはええっとね、と今までのことを思い返しながら自分の考えを述べる。
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