▽ 覚えることはまだまだある 17
「何だ、休憩中だったか」
カチャ、と音を立てて扉が開き、姿を見せたのはこの城の主である死神だった。
「あ、死神さん」
「お邪魔してます、死神さん。今日はありがとうございます、お部屋を貸して頂いて…」
「礼などいらん、力をつけるために使うならいくらでも使えばいい。で、今回は何を教えていたんだ?」
「えっとですね…」
先程までやっていたことをリアラが説明すると、成る程な、と死神は頷く。
「二人の希望に沿ってならその内容が合っているだろうな。私ならもう少し厳しく教えるが」
「リアラは死神さんと違って優しいもん、こうやって休憩だって入れてくれるし」
「ほう、なら今度やる時はもっと厳しく教えるとするか」
「えー、やだー」
死神の言葉に顔をしかめるルティアに苦笑しつつ、ありがとうございます、とリアラは礼を述べる。近くにあった椅子を引き寄せ座った死神は召使いのホムンクルスを呼びつけて自分の分の紅茶を頼むと、少し思案してリアラに言う。
「そうだな…様子を見に来たのにずっとこのままというのもつまらん、リアラ、この状態でもできる物はあるか?」
「えっ?」
唐突に言われたことにリアラは驚くが、うーん、と考えを巡らせ、あることを思いつく。
「そうですね、じゃあ、魔女と魔獣の魔力の使い方の違いについて話してみる、というのはどうでしょうか?」
「ほう、魔女と魔獣、それぞれの魔力の使い方の違いか」
「はい。この勉強会を開くことになったのはルティアの一言からですけど、バージルもこの勉強会に興味を持ってくれましたし。なら、魔女と魔獣、パートナーであるお互いをもっと知るためにそういう話をしてもいいと思うんです。気づいたことや思ったことを話すので、意見交換という形になりますが」
「いいだろう、面白そうだ。皆、異存はないな?」
「面白そう、あたしやりたい!」
「嫌だって言ったってやらせるでしょ、死神さんは。でもリアラの提案は面白そうだし、私はいいよ」
「ディーヴァがいいならオレはいいぜ」
「俺もルティアがいいと言うのなら構わん。面白そうではあるしな」
「他ならぬパートナーの提案だしな、俺もいいぜ」
「決まりだな」
満足そうに頷いた死神はリアラへと視線を向ける。
「なら、まずは言い出したお前が最初だな」
「わかりました」
頷くと、リアラは自分の意見を述べ始める。
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