▽ 覚えることはまだまだある 12
「えいっ!!」
カッと目を見開き、かけ声と共にディーヴァはロサレプスを振り下ろす。まばゆい閃光が勢いよく落ち、見事的である氷に命中した。
「当たった…やったぁ!」
「やったね、ディーヴァ!」
「うん!」
一発で当たったことが余程嬉しかったのか、ディーヴァはぴょんぴょんと跳ねて喜ぶ。後ろで見守っていたルティアも自分のことのように嬉しそうな声を上げる。
「すごいわ、ディーヴァ。一回で当てられたわね」
「えへへ…」
「その調子で練習していきましょう。まずは一つの的に確実に雷を当てられるように練習して、できるようになったら的を増やして自分の当てたい的に雷を当てる練習をするといいわ。魔力をコントロールする力の向上にも繋がるし、魔力を増やすことにも繋がるからね」
「うん!」
「じゃあ、ディーヴァは的に雷を当てる練習をしててくれるかな?その間に私はルティアに教えているから。何かわからないことがあったら遠慮なく聞いて」
「りょーかいです!」
姿勢を正し、ビシッと指を揃えて敬礼したディーヴァはさっそく練習を始める。彼女が練習を始めたのを確認してから、リアラがルティアの方を振り返ると、彼女は目をキラキラとさせてこちらを見ていた。椅子の背もたれに両手を乗せて今か今かと待っているその姿はまるで子犬のようで、リアラはくすっと笑みを零す。
「ルティア、お待たせ。次はルティアの番だね」
「うん!」
自分の元に近づいてきたリアラの言葉に元気よく頷くと、ルティアはぴょん、と跳ねるように椅子から立ち上がる。
「ルティアの希望は戦う時に力で押してしまうところがあるから、そこを直したい、だったわね」
「うん。今までこれでもかってくらい死神さんにしごかれてきたし、そこら辺の魔獣には負けないけど…強い魔獣相手だとどうしても力押しになっちゃうところがあって。それで魔力切れしちゃうこともあるから、もう少し上手く魔力を使えたらって思ってるの」
「なるほどね。そうね…魔力が切れてしまうってことは魔力を使い過ぎているってことだから、その時の状況に合わせて使う魔力の量を調節できるように練習しましょうか」
「調節?」
首を傾げるルティアにそう、とリアラは頷く。
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