▽ 覚えることはまだまだある 9
「武器…武器かぁ…」
うーん、としばらく考え込んでいたディーヴァは、何か思いついたらしく、そうだ!と声を上げる。
「ダンテの武器があった!ダンテ、武器貸して!」
「あ?オレの武器なんか借りてどうするんだよ」
急に話しかけられた若は籠にたくさん盛られているディーヴァお手製クッキーに夢中になっていたようで、視線は向けていたが話は聞いていなかったようだ。
「もう、話聞いてなかったの?魔力で武器を形作る時にイメージしやすくするのにまずは身近にある物を見て形作る練習をしたらいいってリアラさんが教えてくれたの。身近にある物で武器っていったらちょうどダンテのがあるでしょ?それ見て練習するから貸して」
「いいけど、変な持ち方してケガすんなよ?」
「はいはい、心配性だなあ、ダンテは…」
クッキーを頬張りつつ、ダンテは左手を掲げる。鮮やかな赤い光が掌に集まり、やがて籠手の形になった。
「ほらよ」
「ありがと。あ、そこのテーブルに置いといて、そっちでやるから」
そう言ってディーヴァは立ち上がると若の方へと駆け寄る。その様子を見ていたルティアもやってみたくなったらしく、バージルに声をかける。
「せっかくだから私もやってみようかな。バージル、閻魔刀見せて!」
「…わかった。テーブルに置いた方がいいか?」
「もし迷惑じゃなかったらバージルが持っててくれる?それを見ながらやるから」
「わかった」
こくりと頷いたバージルを確認して、ルティアも彼の方へと駆け寄る。会話を交わしながら練習を始めた二組を見ていたリアラは、自分のパートナーへと視線を移す。アイスブルーの瞳と視線が交わった。
「リアラはやらないのか?」
「…そうね、せっかくだしやってみようかしら」
元々は自分が言ったことだし、二人も練習しているのだから自分も練習しよう。ダンテの言葉に頷き、リアラも椅子から立ち上がって彼の元に行く。彼の目の前で立ち止まると、リアラは視線を上げる。
「ダンテの武器は毒針だったわね」
「ああ、けどあれだとリアラにはすぐ再現できちまうだろ。そうだな…他のやつを出してやるよ」
「他のやつ?」
首を傾げたリアラの前で、ダンテは右手を掲げる。掌から暗い紫色の魔力が立ち昇り、やがて銀色の大剣が姿を現した。
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