▽ 覚えることはまだまだある 8
「ありがとう、ルティア。でも、ルティアも充分早いよ。ディーヴァ、そんなにがっかりしなくても練習してれば早くできるようになるから、気を落とさないで」
「本当…?」
「うん」
「…わかった、がんばる!リアラさん、この鍛錬の上手いやり方って何かあるかな?」
「上手いやり方っていうのはないけれど…もしイメージし辛いのなら、まずは身近にある物を見ながら同じ物を魔力で形作ってみたらどうかしら」
「物を見ながら…模写ってこと?」
「そう。まずはそのやり方で練習して、物のイメージが頭の中でできるようになったら、さっきと同じやり方で鍛錬するの。物のイメージができるようになったら鍛錬しやすくなるでしょう?身近にない物なら図鑑を見るのも手ね、できれば本物に触れていた方が魔力で形作った時に本物に近い物ができるんだけど」
「なるほど、メモメモ!」
「あとは、そうね…武器ってあまり見る機会がないから、クレドさんのいる自警団で見せてもらったらどうかしら。鍛錬のためなら、クレドさんも快く引き受けてくれると思うし。武器屋で見るのが一番いいと思うんだけど、ディーヴァはそういうところで武器を見るのはあまり好きではないでしょう?ルティアも私もそうだし」
「うーん、そうだね…武器屋で見るのはちょっと好きじゃないなあ。今度クレドさんにお願いしてみようっと!」
今しがた自分から聞いたことをノートに書き始めたディーヴァの様子を見ていたリアラに、ルティアが話しかける。
「攻撃魔法を使う時のイメージにはそういうのも必要だけど、武器ってあまり進んで見たくないよね」
「そうね、戦うためには必要なことだし、人間には魔獣から身を守るために必要な物でもあるけれど…相手を傷つける物でもあるからね、進んで見ようとは思えないわね」
けれど、とリアラは続ける。
「使い方さえ間違えなければ、人を守るための物になるわ。ダンテ達は自分の武器を私達を守るために使ってくれているでしょう?だから、人を守るための物になっている。私は武器を自分の身を守るためにも使っているけど」
自分の武器も、誰かを助けるための物になっていると信じたい。そう思いながら自分の考えを伝えたリアラに、ルティアはそっか、と頷く。
「そうだね、バージル達の武器は私達を守るために使われているんだよね。そう悪い物として考えなくてもいいよね」
「うん」
ルティアの言葉にリアラは頷き返す。
一方で、メモを取り終えたディーヴァは、何やらブツブツと呟いている。
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