▽ 覚えることはまだまだある 6
死神の城に着いたリアラとダンテは出迎えてくれた召使いのホムンクルスの後に続き、書斎へと移動する。
「では、私はここで失礼します。何か御用がありましたらお呼びください」
「ありがとうございます」
案内してくれた彼女にお礼を言い、去っていくのを見送ってから、リアラは目の前の扉を軽く叩く。
「お邪魔します」
「あ、リアラ!」
扉を開けるとこちらに気づいたルティアが駆け寄ってくる。向こう側に彼女のパートナーであるバージル、それにディーヴァと若もいて、自分達の到着を待っていたようだった。
「もうみんな来てたんだね。…もしかして待たせちゃったかな?」
「ううん、さっき来たばっかりだよ。ディーヴァとは私の家で合流して一緒に来たの」
「そうだったんだ。…ここに来るまで、バージルと若は喧嘩しなかった?」
声を潜めてリアラが聞くと、ルティアは肩を竦めて返す。
「してはないけどしそうになったよ。会った途端に睨み合いしてるんだもん、いつものことだけど呆れちゃう。ディーヴァと二人で喧嘩したら置いていくからねって注意したから大人しくしてたけど」
「そっか」
確かにいつものことといえばいつものことだ。リアラは苦笑する。
「今日は私達の勉強会だから、もし二人が喧嘩しそうになったら止めてくれていいからね。ディーヴァもそう言ってるし」
「うん、わかった」
喧嘩しないで静かに見ていてほしいが、二人だとそうもいかないだろう。喧嘩が始まった時のことも考えておこうと思いながらリアラは頷く。
「なー、いつまでそこで話してるんだ?早く始めようぜ」
勉強会に参加するわけでもないのに若が急かしてくる。近くにいたディーヴァが若を窘め、ルティアも振り返って応える。
「はいはい、少し待って!早くしないと若が飽きそうだし、準備して始めよっか」
「うん」
ルティアの言葉に頷き、リアラはダンテと共に書斎に入った。
prev /
next