▽ 雨が止むまで 14
「珍しいな、死神が来てたのか」
「ダンテ!」
鷲の翼を羽ばたかせて白木の板に足をつけたのは自分が帰りを待っていた人で、リアラは彼に駆け寄る。
「お帰りなさい、ダンテ。ダンテが出かけてから雨が降り出したから、身体を冷やしてないか心配だったの。大丈夫?濡れてない?」
「ああ、そうみたいだな。幸いこっちに帰ってきた時には雨は止んでたから濡れることはなかったぜ」
「そっか、よかった…」
「ああ、心配してくれてありがとな」
手を伸ばすとダンテはリアラの頭を撫でる。二人で家に入ると、何かに気づいたのかダンテがすん、と鼻を鳴らした。
「ん、何かいい匂いがするな…」
「死神さんが来た時に薔薇の花びらが入った紅茶とフィナンシェを出したの。ダンテの分もあるから、よかったら今から準備しようか?」
「お、いいな。頼む」
「わかったわ、ちょっと待っててね」
「ああ」
ダンテが椅子に座ったのを確認すると先程まで使っていたティーカップと皿を片付け、リアラはキッチンに向かう。シンクに使った食器を置き、棚から新しいティーカップを取り出したリアラは、先程までしていた死神との会話を思い出す。
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