▽ 雨が止むまで 13
「…お前なら大丈夫だな」
「…え?」
「独り言だ、気にするな。…さて、漸く雨も上がったようだし、そろそろ帰るとするか」
死神の言葉にリアラが視線を移すと、雨粒で濡れた窓の向こうが明るくなっていて、日が差しているのがわかった。椅子から立ち上がった死神はリアラに礼を述べる。
「良い持てなしだった。今度お前が私の城に来た時は良い紅茶を用意しておこう」
「そんな、お気になさらないでください、困った時はお互い様ですし…」
「偶にはこういうのも良かろう。今度時間がある時に来るといい」
「…じゃあ、楽しみにしてます」
「ああ」
リアラの声に満足そうに頷き、死神は玄関の扉を開ける。リアラも見送りのためにその後に続く。
「邪魔したな。ではな」
「お気をつけて」
死神は金属の翼を広げると、トッ、と地を蹴って軽やかに飛び立つ。瞬く間に遠のいていった彼女の後ろ姿を見送っていたリアラは、下から聞こえたバサリという羽音に隣りを見る。
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