DMC×魔女パロ | ナノ


▽ 雨が止むまで 11

『この何年か、お前が送り返してくる同族を見ていた。その中には再び常界に行った者もいるようだが…ほとんどはお前が再度送り返していたな。お前と同じ仕事をする者の中には同族を殺してしまう者もいるだろうに、お前はそれをしないのだな』

私がそうしない理由を話すと、彼はふむ、と頷いた。

『むやみやたらに命を奪うよりはいいだろう、我もそれは好まぬ。…しかし、命を奪うのは怖いと言うのに、なぜその仕事を始めた?お前が命を落とす危険性もあるというのに…。仮にその仕事をしていなかったとしても魔女と魔獣の子であるお前は同族に狙われやすいはずだ、なのになぜ自分から命を落とす危険を増やす?』

じっと私を見つめる赤い瞳を見つめ返して、私は答えた。

『確かに、魔女と魔獣の子である私は他の魔女より魔獣に狙われやすいです。この力も、魔獣から身を守るために身につけたものですから。…けれど、この仕事があると知った時、誰かを守るためにこの力を使えると思ったんです』

この力を、自分のためだけじゃなく、誰かのために使えるなら。誰かの役に立てるなら、これ程いいことはないと、そう思ったのだ。彼は虚を衝かれた顔をしたが、やがて目を細めて静かに笑った。

『己のためではなく他者のために力を使おうとはな、変わった娘よ。だが面白い、気に入った。お前にならばこの話をしてもいいだろう』

『話?』

私が首を傾げると、そうだ、とケルベロスは頷く。

『この監獄塔は、本来ならば我が一族の者か、ゼクスのように我が友人として力を貸す者が罪を犯した者を見つけて連れてくるが、それにも限界がある。我が一族の者はこの塔に収監された者達の監視をしなければならぬし、ゼクスはフィーリアと契約し、常界に行くと同時に辞めている。自ら行こうにも、我はこの塔を管理するが故にここから離れられぬのだ。魔界の内ならばどうにか手を回すこともできようが、常界までは手が回らぬ』

『…つまり、常界に現れた罪を犯した魔獣を私が捕獲して、この監獄塔に送ればいいと、そういうことですか?』

『その通りだ、理解が早くて助かる。無論、こちらから一方的に頼むことはせぬ。お前の仕事で捕らえた者をこの塔に送れば、他の者と同じく我らで監視しよう。そうすれば、今までのように罪を犯した者が再び常界に現れることはない…どうだ?』

そうすることで罪を犯した魔獣が再び人間や魔女を襲うことがないのであれば、迷うはずはなかった。

『わかりました。その話、お受けします』

『では、この話は成立だな。これからよろしく頼むぞ、リアラよ』

『はい、よろしくお願いします、ケルベロスさん』

こうして父様がもたらしてくれた縁により、私とケルベロスは出会ったのだ。

prev / next
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -